民泊を始める時には、消防設備の設置と消防法令適合通知書が必要になります。
消防法施行令で、使われる用途によって防火対象物を区分しており、その区分にあわせて必要な消防設備が変わってきます。
消防法で定められている建物の用途区分としては
●一般住宅
●共同住宅
●宿泊施設
●複合用途
但し、住宅宿泊事業(民泊新法)での運営の場合、民泊としての消防用設備等の設置は不要な場合がでてきます。
そこで今回は、民泊を始めるにあたって必要な消防設備について解説していきますので、その辺の違いをしっかり理解しておきましょう。
1.民泊の運営方法によって消防設備が変わってくる
「沖縄で民泊の始め方!メリットや需要、手続きまで民泊を始めるための知識」の記事でも解説しましたが、民泊を運営する方法は「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」と3つあります。
沖縄県での特区民泊地域はありませんので、ここでは民泊新法と旅館業法での違いについて解説していきます。
1-1.民泊新法での運営で必要な消防設備
民泊新法で民泊を運営するのであれば、住宅の一部なのか建物全体なのか、マンションの一室なのか、家主が不在か、宿泊室の床面積、などによって必要な消防設備が変わってきます。
条件が数多くありますので、一つずつ見ていきましょう。
・住宅の一部を民泊として利用する場合
住んでいる家の一部を民泊として利用する場合ですが、民泊として利用する部分の建物の割合・広さで必要な消防設備が変わってきます。
民泊の利用部分が建物の半分以下で床面積が50㎡以下
民泊としての消防設備は不要”※住宅用の火災警報器は必要
民泊の利用部分が建物の半分以下で床面積が50㎡以上
民泊としての消防設備が必要”
●消火器(延べ面積150㎡以上の場合)
●民泊部分に自動火災報知設備
●誘導灯(一定の要件を満たす場合は免除可能)
●カーテン、じゅうたんは防炎物品
民泊の利用部分が建物の半分以上の場合
民泊としての消防設備が必要
●消火器(延べ面積150㎡以上の場合)
●建物全体に自動火災報知設備
●誘導灯(一定の要件を満たす場合は免除可能)
●カーテン、じゅうたんは防炎物品
住宅の全体を民泊として利用する場合
民泊としての消防設備が必要
●消火器(延べ面積150㎡以上の場合)
●建物全体に自動火災報知設備
●誘導灯(一定の要件を満たす場合は免除可能)
●カーテン、じゅうたんは防炎物品
・マンションの一室を民泊として利用する場合
延べ面積が500㎡以上の場合
民泊としての消防設備が必要
●消火器
●建物全体に自動火災報知設備
●誘導灯
●民泊部分のカーテン、じゅうたんは防炎物品
延べ面積が500㎡未満の場合
延べ面積が300㎡以上で民泊部分が10%を超える
民泊としての消防設備が必要
●消火器
●建物全体に自動火災報知設備
●誘導灯
●民泊部分のカーテン、じゅうたんは防炎物品
それ以外の場合
民泊としての消防設備が必要
●消火器
●民泊部分に自動火災報知設備
●誘導灯
●民泊部分のカーテン、じゅうたんは防炎物品
民泊新法で民泊を運営するなら以上のような条件により、必要な消防設備が変わってきます。
この中で民泊としての消防設備が必要としていないのは、民泊の利用部分が建物の半分以下で床面積が50㎡以下の条件だけであり、民泊として利用する部分が小さいという点に特徴があります。
その他の条件下の場合は、民泊としての消防設備が必要ということがわかります。
ただ、民泊利用部分の大きさによって自動火災報知設備が民泊部分だけに必要なのか、建物全体に必要なのか変わってくるというところに違いがあります。
また、家主が住んでいる場合でも条件に違いがありますので、確認しておきましょう。
・家主が住んでいる一部を民泊として利用する場合
民泊利用の宿泊室床面積が50㎡以下
民泊としての消防設備は不要※住宅用の火災警報器は必要
民泊利用の宿泊室床面積が50㎡以上
民泊としての消防設備が必要
●消火器(延べ面積150㎡以上の場合)
●建物全体に自動火災報知設備
●誘導灯(一定の要件を満たす場合は免除可能)
●カーテン、じゅうたんは防炎物品
家主が不在で一室を民泊として利用する場合
民泊としての消防設備が必要
●消火器(延べ面積150㎡以上の場合)
●建物全体に自動火災報知設備
●誘導灯(一定の要件を満たす場合は免除可能)
●カーテン、じゅうたんは防炎物品
1-2.旅館業法での運営で必要な消防設備
ここまでは、民泊新法で運営する場合の必要な消防設備でしたが、旅館業法(簡易宿所)で運営する場合をみていきます。
住宅を民泊として利用する場合
民泊としての消防設備が必要
●消火器(延べ面積150㎡以上の場合)
●建物全体に自動火災報知設備
※建物の延べ面積が300㎡未満の場合は無線式のもので足りる場合もあり
●誘導灯(一定の要件を満たす場合は免除可能)
●カーテン、じゅうたんは防炎物品
マンションの一部を民泊として利用する場合
民泊としての消防設備が必要
●消火器(延べ面積150㎡以上の場合)※設置されている場合は不要
●建物全体に自動火災報知設備
※民泊部分が300㎡未満の場合などは民泊部分に自動火災報知設備
●誘導灯(一定の要件を満たす場合は免除可能)
●カーテン、じゅうたんは防炎物品
以上のように、基本的には民泊としての消防設備が必要となってきます。
ただ、運営条件等によっては誘導灯の免除や自動火災報知設備を無線式のもので足りる場合もありますので、運営する民泊物件によって違うということは頭に入れておきましょう。
また、消防設備は市町村条例等により、避難経路図の提出や携帯用電灯の常設などが必要な場合もありますので、管轄の消防署に確認しておく必要があります。
2.消防法令適合通知書の交付までの流れ
ここまでは民泊物件によって必要な消防設備について解説してきましたが、消防法令適合通知書の交付までの流れも把握しておきましょう。
消防法令適合通知書の交付までの流れ
●管轄する消防署へ所定の様式により交付申請
↓
●消防署より、民泊物件の立ち入り検査等を実施、調査。
↓
●調査の結果に基づき、消防法令に適合していると認められる場合は、消防法令適合通知書の交付
以上のような流れとなり、民泊運営に必要な消防法令適合通知書が交付されます。
まとめ.
消防法令に基づき、消防用設備を設置する場合が出てきます。
その際、消防設備士の資格を持ったものが行う必要がある場合があります。また、電気配線工事が必要な場合には電気工事士が行う必要もあります。
これまでの消防設備設置や消防法令適合通知書の申請、交付までを自分で全てやるのは大変という方は、当社にお任せ下さい。
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